反骨精神

高校生の頃に描き溜めたオリキャラをストーリーとして書き起こします

第2弾です


「反骨精神」


あるところに、由緒正しい呪術師の家系がありました。

決して悪事に手を染めるようなものではなく、人々を助けるために呪術を用いていました。

しかし家業のせいか、まるで何かに呪われているかのように、ことごとく男子に恵まれず

最後に生まれた少女は全ての血縁者からの期待と圧力を一身に背負っていました。


厳しい躾に耐え続け、それでも苦労が報われることが無いことを、彼女は知っていました。


特に両親からの重すぎる「愛」は彼女の心を蝕み、いつしか狂気に支配され、悪魔のような声が毎日のように語りかけてくるようになりました。


『こんな毎日はウンザリだろう

早く終わらせてしまえ』




遂に少女は両親を殺してしまいました。生来教え込まれてきた呪術で、家族の命を手にかけたのです。



少女は目の前に倒れる男女を見て、身を震わせました。

生まれて初めて、期待、信頼、しきたりや「愛」を裏切りました。


彼女の身体は、快感に打ち震えていました。




しかし、彼女の両親は、最期まで娘を愛していました。そして、娘が命絶えるまで守り続けるための呪いをかけて息を引き取ります。


その日から、少女の頭には絶えず両親の声が響くようになりました。

いつも正しい方へ導こうと、優しく語りかけてくるのです。

危ないことをしようとすれば、必死に泣き喚いて止めようとしました。





少女は、頭に響く両親の叫び声を聴くことが快感になっていました。

そして、叫びを聴くために、好んで危険な道へ進むようになりました。



そうして、狂ったように呪術で生き物を苦しめ、笑いながら崖から飛び降りるような若き魔女が生まれました。





「ああ、逆らうというのは、とても楽しいことね」







遺物識別番号02"backbone"

作品名「反骨精神」