自由の翼

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久々の更新です。

今日は2年前からずっと考えていたシリーズものの1つを初めて文章に書き起こしてみました。

ツイッターで創作キャラ愛でてる人がいて楽しそうだったので唐突ですが私もやります!!







自由の翼


ある国に踊り子の少女がいた。

少女は貧しい家族の生活を支えるために劇団に売られ、奴隷のように踊らされ続けていた。

何にも抗えぬまま削られていく運命を憂い、自由への願望は時が経つほど強くなっていた。


そんな彼女だが、過酷な日々に耐えきれず、ある日遂に自らの命を絶とうとした。

夕暮れ時、木の枝に紐を結んで首を吊ろうとすると、飛んでいるカラスが目にとまった。


「お前はいいね、望まなくたって自由に空が飛べるんだ。

首吊りでもしないと運命を変えられない私なんかとは違うんだね。」


彼女はカラスへ怨み言を放った。

すると、カラスは少女のいる方へ飛んで木の枝に止まった。

よく見ると、そのカラスには頭が2つあった。


「馬鹿なことを言うね。なんの犠牲も無しに何かを得られるのなんて神様くらいのもんだ。

カラスだって翼と知性の代わりに鮮やかで美しい毛並みと声を失った。」


双頭のカラスは続けた。


「お前さんも自由の翼が欲しいのなら、大事なものを寄越すんだ。」


少女は、何でもくれてやるから何処へでも飛んでいける翼が欲しいと言った。


すると、白く大きな翼が二枚、少女の皮膚を突き破り出てきた。

彼女は目を奪うほど美しく力強い自由の翼を手に入れた。


少女は何故だかそのまま自ら劇団へ戻った。

カラスは何処かへ飛び去った。


奇妙な姿で戻ってきた少女を見た劇団の団長は大喜びし、彼女は見世物として生涯踊り続けることとなった。


彼女は自由の翼を手に入れる代償に、自由を追い求める心を失ったのだった。



遺物識別番号01 "自由の翼"

作品名「liberty」




おわり




作品名「liberty」はこの文章ではなく少女のことを指しています。

バッドエンド厨だから「命と引き換えに翼を手に入れる」って感じで翼はえた時点で出血死でも良かったんですけど

人が死ぬ物語があまり好きではないので生かしました。


だから鉄拳って芸人の御涙頂戴パラパラ漫画とか大嫌いです。人の心を揺さぶるために人の死という現象を持ってくるセンスが嫌いです。


そもそもキャラが先行してあって「自由な体と不自由な心」がテーマだったので死んだら意味無いですね。


何者かに存在を書き換えられる創作キャラがたくさんいるんですけど、みんな書き換えられたら作品として保存されるので不老になる設定です。

この子も首でも跳ねない限り劇団が廃れても永遠に踊り続けます。


長々と書いてしまいました。読んでくださってありがとうございます。

他にもキャラがいるので気が向いたら書きます。